
文系のオタク就活生の就職にオススメしたい業界3選をご紹介
ゲーム業界はコンシューマー開発がベターでしたが近年のソシャゲの台頭・市場拡大と圧倒的な経済効果により、今までハード・ソフト開発をメインにしていた企業がソシャゲに力を注ぐようにもなりました。その影響もあって就活生からの注目度や応募数も年々高まってきておりますが、ゲーム業界はどの職種どの企業でも“狭き門”として知られています。なぜゲーム業界で働く事が難しいと言われているのか、今回はその点について解説していきましょう。
さて、本稿を読んでいる方は言うまでも無く「普通の仕事は嫌だ! 俺はゲームに関わりたいんだ!」と考えているゲーマーではないでしょうか? 後述で解説しますがネガティブな話をすると“好きな事を仕事にする”のは思った以上にリスキーです。「何で? 好きな事で金を稼げるのなら最高じゃん」と考える人もいらっしゃるかもしれません。その気持ちは前向きな気持ちで仕事を継続するにはすごく大事ですし、趣味嗜好の延長で生活が成り立つ光景というのは誰もが夢見る事でしょう。
自分の知識技術をいかんなく発揮して面白いゲームを作り、就業時間内に“テストプレイ”の名目で遊んでみたり(デバックの仕事ですが)、職場では自分と同じような趣味や志を持った同僚とゲームや仕事を通じて仲良くなって、プライベートでも一緒にゲーム三昧だったり…。
こうして見ると誰もが憧れる事でしょう。子供の頃から好きだったゲームシリーズの新作に携われたり、新たなタイトルや方向性を開拓する場合、自分の出したアイデアが作品に反映される事だってありますしね。
そしてゲーム産業とは常に成長を続けているものであり、ゲームそのものもアーケードからコンシューマー、PCにスマホ・タブレットなど遊べる環境は一昔前と比べて大きく変貌した事でも知られています。それだけでなくゲームコンテンツの種類も爆発的な広がりを見せ、それに伴いユーザーの年齢層も変わっていきました。皆さんも電車などで目撃する事も多いと思いますが、一見ゲームを嗜むように見えない中年のビジネスマンや高齢者がスマホ片手に時間を潰している光景も身近になってきました。それほどゲームの存在は私達の生活と密な関係にあるわけです。
また、技術面でいってもVRの登場は多くのゲーマー達の心を揺さぶり、まだまだ課題の多い分野ですが、ゲームの世界に文字通り“のめり込める”ようになったのは感動モノです。
もしかしたら大人気アニメ『SAO(ソードアートオンライン)』や、映画『レディ・プレイヤー1』のような遊び方も、そう遠くない未来で可能になるかもですね。
…とまぁ見事に話が脱線してしまいましたが、確かにこんな世界で仕事が出来るわけですから、ゲーム業界に対して明るいイメージを持つ事は自然な流れではあります。しかし“就活”“仕事”といった要素が絡んでくると途端に難易度が上がってしまうのです。
では就活・転職に目を向けてみますが、新卒採用を行うゲーム系企業は思った以上に母数が少ない。その規模も大手企業からゲーマーなら誰もが知る有名デベロッパー企業、そして「とにかく猫の手も借りたい」と考える中小企業と選択肢は豊富のように思えますが、その多くは新卒の採用枠が他業種に比べてかなり狭まっています。
それだけでなく大手では他に比べて“まだ”新卒が飛び込みやすいのですが、各企業の毎年の採用実績をチェックしてみると、ほとんどが超難関大学の名前が連なっており、選考をする上で学歴がかなり重要だという事が分かります。ぶっちゃけここは他所の大手企業の採用活動でも普通に当てはまる点なので、“ゲーム業界へ入る難しさ”と言うとちょっと違うかも。
ですが「ゲーム業界で働きたい!」と強く願っていても学歴の壁で弾かれる可能性が非常に大きいので、一般の大学生からすると結局厳しい事には違いありませんね。
そして専門学生の応募についても、実務経験の無さをカバー出来るほどの実績をアピール出来なければ、他の就活生の影に埋もれてしまうでしょう。学生時代に培った知識や技能をふんだんに盛り込んだポートフォリオにアプリなどの成果物が目を引くようなクオリティーでないと当然通過はしません。
では中途採用はどうなのでしょう? こちらでは大手というより中小やベンチャー企業が主戦場になりやすいのですが、キャリア採用というだけあり前職で経験した事が上手くアピールに繋げられないと採用は見送られます。これら企業は入社してわずかな期間で他の社員と変わらない業務水準を課す事で知られているわけですから、たとえゲーム業界未経験でもプログラミングやコーディング、アプリケーション・ソフトツールへの理解が無く、使用する事もままならないと話になりません。
まぁ、大手企業に比べて自分の裁量でタスクをこなせるだけでなく、直接的に好きなゲームの開発に携われるので「好きを仕事にしたい」と考えるゲーマーにはたまらない環境と言えますけどね!
別の分野に就職して、その後ゲーム業界に挑もうと考えている既卒にも触れていきましょう。全くゲームへの知識に明るくなく、企画やデザインにプログラミングなどにも疎いとする場合は、きっちり自分の進みたい職種を定めて“この仕事ではどんな能力が必要になるのか”という点を調べておきましょう。そこから独学か専門学校に通い、それなりに経験を積んで企業にアプローチしてみましょう。だがしかし、独学はなるべくならオススメしません。というのも自分の好きな時間で好きな量を学べるのは良いように思えますが、素人である自分の判断で全てを行う事になるので、実践的なスキルが身に付きにくいだけでなく理解するにも時間が大幅に掛かってしまう可能性も含まれます。
最初の方で“好きな事を仕事にするのはリスキー”だと書きましたが、ゲーム業界で活躍する人の多くが口を揃えて言うセリフに「好きな気持ちだけじゃやっていけない」というのがあります。
どういう事かと言うと、仕事と趣味(ゲーム)の境目が曖昧になって抱えていたゲームへの熱が下がるというわけです。ゲームは本来“娯楽の一環”ですけど、仕事というある種“義務”が付加されると途端に重荷に感じてしまうのです。もちろん全てのクリエイターがそうとは限りませんが。
入社当初はゲーム作りに対する理想を掲げてドキドキしながら諸々の初体験に臨むと思います。アルバイトだろうが新卒社員だろうが。しかし華やかな世界というのはギャップも大きいものです(光量が強ければその分、影も濃くなる的な)。
仕事を覚えていく段階で“納期”というクリエイター殺しの壁を意識するようになったら、それだけで抱えているタスクへのプレッシャーが大きくなって、ゲームへの純粋な好意がいつの間にか「早く終わらせたい、ゲームはもうお腹一杯」という発想に取って代わる事も、この業界では珍しくありません。ゲームで人生を豊かにしたいと考えていたのに、仕事を経験していく内にゲームが心の余裕を無くすわけです。特にプランナーは朝から晩まで“企画”にまつわる思案を求められるので、鬱になる人も割と多い。逆に変に割り切って「俺はゲームと結婚したんだ」と考えるような猛者は生き残る可能性が高いように思えます。というより所感ですが“こういうタイプ”はスキル的に体力的にも“ツブシが効く”ので業界で重宝されます。稀に「クリエイティブな仕事をする人は多少“バグってる”方が強くなる」とも聞きますしね。シビアな言い方で本当に申し訳無いですが、むしろ繊細な心を持ったままだと仕事とゲームの板挟みで心を折られやすくなりますよ、業界研究が中途半端な人は尚更に。
また、巷でゲーム業界への不安点を聞いた時に頻繁に出るのが「休日が無い」という点。これは半分正解です。ゲーム業界は往々にして裁量労働制を掲げているので普段の業務は大変なのは変わりありませんけど、ブラック企業のような過密スケジュールというわけではありません。むしろゲーム業界って他の業種よりも朝が10時~12時出勤でもOKだったり服装が自由だったりするので、割と自分の仕事さえ手掛けるのが早ければホワイト級の就業時間を実現出来ます。
ですが、開発プロジェクトの終わりが差し迫ってくるタイミングは割りと“地獄”です。包み隠すと逆に後々後悔するかもしれませんからもうストレートに言いますね、作業が佳境に入れば“地獄”です。
特にマスターアップの時期だと、多くの人が終電ギリギリだったり会社に泊まり込んだりなんて光景は“日常”になります。進捗に関する帳尻を合わせるために休日だって出勤する事もあるので、大幅に睡眠時間が削られて体調を崩す人も多く見かけます。まぁ…無理やりポジティブに言い換えるならゲリライベントみたいなものです…。
しかし、24時間ゲームの事を考える事ができ、尚且つ忍耐力に自信があるという人にはオススメ出来ます。「隣の芝生は青く見える」と言うように、ゲーム業界のツライ箇所をいくらピックアップしても、結局「仕事がツライ」のは他業種でも同じですしね。
こういった問題点を問題と思わず「それでもゲーム業界でキャリアを積みたい」と考えるならば、自分の条件に合致した企業を見繕い応募をかけてみるのも良いでしょう。
いかがだったでしょうか? 今回はゲーム業界に就職・転職する事の難しさや業界の抱える問題点に触れてみましたが、自分のスキルに自信がありゲーム開発で生じる苦労も覚悟してるぞって人には天職と言えるかもしれません。過去の環境に比べて今では劣悪な待遇にもメスが入りやすいようにもなりましたし、何より“自分の努力が返ってきやすい”のもゲーム業界の継続して見えてくる楽しいところです。ゲーム好きな就活生・転職希望者はもちろんですが「普通の働きに満足出来ない」と考える人も是非チャレンジしてみてくださいね。