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ゲームプランナーの面接で優位になる企画書とは?

新規タイトルの考案や既存コンテンツの拡張など、ゲームの企画立案や開発に携わる事になるゲームプランナー。企画の内容次第で年間数億円規模の売り上げを記録するようなヒット作を飛ばす事が可能になるので、ゲーム業界を志望する人には憧れの職種の一つに挙がりますね。ただ人気職故に、実務経験が無い状態で選考に挑むのは容易ではありません。選考を突破するには履歴書やES以外に企画書の出来が重要になるでしょう。





そもそもゲームプランナーと企画書って?




本稿を読んでいる人の中にはゲームプランナーについてや企画書そのものをよく知らない方も含まれると思いますので、事前情報としてこちらで解説をしていきましょう。
ゲームプランナーはその名の通り“プランニング(企画)”を手掛ける職業であり、ゲームの根本となるコンセプト作りから魅力点、ターゲットの選定やプロモーションなどを考えていきます。
この企画業務が主な役割となるのですが、プロジェクトを管轄するゲームディレクターやゲームプロデューサーを交えてゲームの“骨組み”をまとめた後は、企業の経営陣に開発のGOサインを貰うために企画のプレゼンをしていかなければなりません。その際に必要になるのが「企画書」です。



プランナーの分析力とアイディア性が試される企画書


企画書とは簡単に言ってしまえば「ゲームを売り込むための判断材料」。そのゲームにどんな価値があるのか、本当にこの内容で利益を生む事が出来るのかなどを解説するために必要になります。ゲームは細かなルールやシステム紹介がマストになりますが、企画書の段階では細々と書く事はありません。分かりやすい情報量で“いかに相手に魅力(成功の可能性)を伝えられるか”がカギとなるのです。
企画書を考える時はまず“どんなゲームにしたいか”を考えるよりも、“ゲーム市場の動向や業界全体のトレンド・流行り廃りを分析する”ところからスタートします。それだけでなく、自分の生活圏であった些細な出来事からアイディアを膨らませる事も企画では意外と多いですね。
そこからゲーム性を考えていき、ある程度の草案がまとまったら本格的な内容の肉付けと修正を繰り返し、PowerPointなどを駆使してようやく形となります。
ここでもし企画が通らないようならば、当然一から企画を考えるか、却下された企画のブラッシュアップ・修正を行い再度挑む事になるでしょう。



仕様書を作り、開発全体を見守るのも役目


無事に企画が通過したら、企画内容を基にゲーム開発プロジェクトの仕様書を作成。その後は本格的に開発業務の割り振りを行います。ゲーム開発ではゲームプログラマーやゲームデザイナー、サウンドクリエイターなど数々の職種が関わる事になりますが、各セクション毎で数人~数十人規模のチームを組み開発にあたっていきます。
ゲームプランナーは作成した仕様書をクリエイター1人ひとりに報告し、任せたい業務内容を伝達していくのですが、クリエイター各々によって仕事の役割や成果物は違うので適材適所な仕事の割り振りをしなければなりません。
ここまで来ると「ようやくプランナーとしての役割を終えた~」と思うかもしれませんが、もちろん他にもやるべき事が山積していますよ。
ゲームに関するコンセプトやアイディアをまとめた仕様書を作った後だとしても、開発の過程で面白い要素・売り上げに繋がる要素が生まれてくれば、仕様変更という形で改めて企画を練り直さなければなりません。ゲーム開発の現場では「完璧なスタート」「変化(イレギュラー)の無い流れ」はあり得ないのです。



少し横道に逸れますが、ゲームクリエイターが共通して嫌う言葉がこの「仕様変更」。新キャラの実装や追加コンテンツのバランス調整くらいなら慣れている人だと難しくない問題ですが、ゲーム性を変えるほどの変更が起きた場合は最悪“荒れます”。ゲーム開発には納期が設定されており、どんなに変更が重なっても決められた納期を過ぎる事は許されないので、ゲームプランナーないしゲームクリエイターを志す場合は“覚悟”しておきましょう。
また、企画そのものも“実現不可能な内容”だと開発が頓挫するので、業界の動向・トレンドを押さえてタイトルの魅力付けをするのも大事ですが、その前に所属する企業の技術力や強み、クリエイター各位の専門性(人によって得手不得手はある)を理解して企画を考えましょう。



その後、問題無く開発が進んでいけば今度は品質チェックを兼ねたテストプレイをしていきます。きちんと仕様書通りにモノが実装されているか、プレイに支障をきたす不具合が残っていないかを、作品全体に関わるプランナーとして細かく見ていくのです。
…という具合に、長々と解説していきましたがゲームプランナーの大まかな役割はこのようになっております。プランナーとしてのゴールは“売れるゲームを考える事”。しかし、それを実現するために他のクリエイター達をマネジメントする事も重要なのです。



選考で評価される企画書のポイント




ゲームプランナーを志望する就活生のほとんどが実務経験が無いわけですので、企業としても“利益を見込めるほどのクオリティ”を期待してはいません。ましてや、ゲーム系専門学校でプランニングについて学んでいた人以外は、「企画書の作り方すら知らなかった」という人がほとんどでしょうしね。なのでここから先は、企画書で評価されるポイントについて解説をしていきます。
企画書は「基本事項」「ターゲット」「セールスポイント」「ゲームフロー」の4つで形成されますが、ひとまず中身は置いておきましょう。
ゲーム系企業での就活では毎年膨大な数の就活生が“自信作(企画書)”を携えてくるわけですが、その内容が過密だと限られた時間で優れているかどうかを判断するのが難しくなります。
という事で早めに言ってしまうと、書類や面接で使う企画書は“見やすさ”が肝心要の要素なのです。
もちろん「自分の考えた内容をじっくり見てほしい!」と考えてインパクト抜群な企画を考案するのも良いですが、まず読ませる気にさせなければ意味がありません。
失敗する就活生の中には15ページから20ページほどの企画書を持ってくる場合もあり、面接官によっては手に取った瞬間に面接を打ち切る場合もあるのです。
そして、レイアウトも情報一つひとつで見やすく区切るようにし、ページ毎の文字数もそこまで多くする必要はありません。フォントのサイズも“大きすぎず小さすぎず”。これはまぁ…プランナーのセンス次第ですね。





そして、企画書を考える際に重要になるのがコンセプト。前述の要素で言ったら「ターゲット」と「セールスポイント」に該当する点ですね。ここでは「どんな人に遊んでほしいか」「この作品にはどんな価値が含まれているか」を訴えかけるわけですが、選考をなかなか通過出来ないプランナー志望者にありがちなのが“どんな人に遊んでほしいかの欠如”だと言われています。
企画とは“誰かが成功に賭けて投資するもの”であり、発売したゲームを買ってくれる層がハッキリしていない企画に、莫大な金額を費やす事なんて出来ません。
ここに陥る就活生はどうしても作品のギミック面を優先した企画を考える事が多く、そのせいで“本来、自分がどんな事をやりたかったのか”が定まらなくなり、企画の分量が膨大になってしまうのです。これでは先ほど語った“読みやすさ”をクリアする事も叶いませんし、なによりゲームコンセプトも“ぼやぼや”になってしまいます。
なので、これを避けるためには“最初の内にターゲットをしっかり定めてから、実現させるための手段を考えていく”発想が重要になるでしょう。
このターゲットには“どんな人に”だけでなく、“遊ぶ場所”や“発売されて狙える社会現象”も含まれますよ。
この企画によって遊び手の回遊ルート、人々の繋がり方などがどう変化していくのかを考える事が出来れば、読み応えのある企画が生まれるはずです。



「面白さ」だけでは通過は出来ない




近年ではソーシャルゲーム(以下:ソシャゲ)がゲーム市場の主流となっており、今までソフト・ハードを専門に開発を行っていた企業でもソシャゲの運用を手掛けるようにもなりました。
ただ基本無料で遊ぶ事が出来るソシャゲではコンシューマとは違い、“課金”で収益を生む事がコストの回収とサービスの存続で重要になっていきます。
ゲームプランナーは大衆に愛されるような面白いゲームを立案する事も大事ですが、それと同時に販売戦略も心掛けなければなりません。
特にソシャゲですと、今ではパズルにカードゲームなどジャンルは様々ですがシステム的には類似した作品が乱立しており、流行り廃りの速度が非常に高いです。
なので、もしソシャゲ界隈でプランニングしていきたいと考えるならば、マルチデバイス上で展開されるソシャゲを通して“どんな面白さを提供し”“そこからいかに多くの課金に繋げるか”を考える必要がありますよ。



まとめ



全くゼロの状態からアイディアを生み、具体的なモノづくりに繋げていくゲームプランナー。ゲーム好きの就活生からの注目度は毎年高めではありますが、企画では企業の納得を得るために何度も何度も企画の加筆・修正を繰り返し、現場では中間管理職のようにクリエイター達の仕事を見守っていかなければならないなど、非常に気苦労の多い仕事です。そして就活で提出する企画書でも、自分の能力や熱意を主張したい気持ちは分かりますが、変に情報量を詰め込みすぎると相手に熱意が伝わっても肝心の詳細が伝わらず、プランナーとしての本気度を疑われてしまいますよ。まだ企画書の方向性に悩んでいる人は、前述の固め方を是非参考にしてみてくださいね!

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